糖尿病ってどんな病気?
糖尿病とは、インスリンというホルモンの量が不足したり、働きが悪くなることで、血糖値が高い状態が長く続く病気です。
健康な人の血糖値図
インスリンは膵臓から分泌され、血糖値を下げる働きをしています。
食事によって摂取された糖質(炭水化物)はブドウ糖に変化しますが、インスリンはそのブドウ糖をエネルギー源として利用できるよう処理したり、体の中に蓄えたりします。
そのため、1日の血糖値は食事により変動します。
糖尿病の人の血糖値図
健康な人は、食事の後に血糖値が高くなり、その後インスリンが働くことで元に戻ります。
一方、糖尿病の人は、インスリンの分泌が少ない、もしくはインスリンの効きが悪いために食後の血糖値が大幅に上昇します。
これが進行すると高くなった血糖値が十分に元に戻らず、慢性的に血糖値が高い状態になってしまいます。
血糖値が高い状態が続くとどうなるの?
血糖値が高い状態が続くと、
全身の血管を傷めてしまいます。これが重症化すると…
- ■人工透析が必要になる
- 糖尿病は腎障害の原因にもなり、年間16,000人が糖尿病を原疾患として人工透析を始めています。
人工透析は週2~3回、3~4時間かけて行うため、日常生活に大きな負担がかかることになります。 - ■失明する?
- 糖尿病によって起こる網膜症、白内障、血管新生緑内障は失明や視力障害の原因になります。
毎年、約3,500人以上が糖尿病による網膜症などで失明しています。 - ■足が壊疽(えそ)する?
- 合併症が進展すると動脈硬化がおこり、足の血流が悪くなります。そのためちょっとしたキズが治りにくくなってしまう「末梢動脈性疾患」を合併しやすく、年間3,000人以上が壊疽(えそ)により足の切断を余儀なくされています。
- ■脳梗塞や心筋梗塞になる?
- 糖尿病の代謝障害、血管障害により、目や腎臓だけでなく、大きい血管も障害をうけ、それがさまざまな合併症を引き起こします。
代表的なものが、脳梗塞や心筋梗塞などで、命にかかわってきてしまう病気です。
良好な血糖コントロールを目指し、 健康な人と変わらない“日常生活の質”と“寿命”を確保する。
糖尿病の最終目標は健康な人と変わらない“日常生活の質”と“寿命”を確保することです。
そのために大切なのはHbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)を目安として“良好”な血糖コントロールを目指すことです。
HbA1c (ヘモグロビン・エー・ワン・シー)とは?
その患者さんの過去1・2か月の平均血糖値がどのくらいだったかを知る目安のことです。
※治療目標は様々な状況を考慮して個別に設定しますが、一般的には“7%未満”を目標とします。
糖尿病治療の基本は食事療法と運動療法です。
当院では療養指導士による栄養指導を受けることができます。
これによって漠然とした、また画一的な食事療法ではなく、個々の患者様の現状に応じた実行可能な食事療法を提案していきたいと考えております。
糖尿病は短期間の治療で治ってしまう病気ではありません。長く付き合う病気ですのでできるだけ患者様がストレスを感じないような治療でよりよいコントロールが得られるように心がけていきたいと思います。